2016年上半期スイス時計輸出状況

全体的に大幅な落ち込み

上半期全体を通して、スイス時計産業は困難な状況に直面しました。ビジネス市場を圧迫する様々な要因から、2015年終わりの低迷傾向はさらに悪化しました。香港市場の立ち直りは見られず、輸出総額に決定的な影響をもたらしました。また、スイスフラン高、テロによる不安、観光客の減少なども、スイス時計の需要に不利に働きました。

2016年上半期の輸出額は95億スイスフランで、過去4年間の上半期のように100億を超えることができませんでした。2015年上半期と比較すると、10.6%の減少となります。第1四半期には欧州市場がかろうじて持ちこたえたものの、現在では全地域が低迷状態にあります。  

2016年の年間予測は大幅に悪化しています。下半期には状況が若干改善される可能性があるものの、年間を通しての成長率は現在の低迷状態とほぼ変わらないことが予想されます。

製品

腕時計の輸出は、時計輸出全体の94%を占め、2015年上半期と比較して10.7%の減少を記録しました。輸出本数ではこの傾向がさらに著しく、-11.9%となりました。6か月の間にスイスから出荷された腕時計は、前年より160万本少ない1200万本でした。

輸出額では、機械式時計とクオーツ時計において同等の減少が見られました。但し、前者は輸出本数において落ち込みが激しく、-14.8%を記録しています。

輸出額減少の半分以上は、上半期に16.0%の減少を見せた貴金属製品に由来するものです。スチールウォッチへの影響は比較的少なく、-6.4%にとどまりました。とはいえ、輸出本数の減少が80万本を超えたことで(-11.6%)、数量低下に大きく貢献することになりました。また、「他のメタル」カテゴリーもかなりの影響を受けました(-19.9%)。

価格帯のほとんどが2桁台のマイナスを記録した中で、500~3000スイスフラン(輸出価格)の腕時計だけは、1桁台(-4.7%)の減少にとどまっています。最も著しい低下がみられた価格帯は、200~500スイスフランのカテゴリー(約15%減)でした。

市場

香港の影響が相変わらず響くアジア市場は、最悪の落ち込み(12.7%減)を記録しました。アメリカ市場は、第2四半期にやや持ち直しましたが、上半期を通して見ると、マイナス傾向は明らかです(-9.8%)。欧州市場の傾向はここ数か月の間に著しく悪化し、最終的に-8.6%の落ち込みを見せました。

17か月連続の急激な減少を記録する香港は、引き続きスイス時計輸出における最大の難点となっています。上半期には26.7%の減少が見られ、輸出総額に大きく響きました。日本は、年頭に有利なベース効果の恩恵を受けたことから、プラスの成長(+2.9%)を記録する数少ない市場となっていますが、ここ数か月はマイナス傾向にあります。中国(-14.7%)は、回復の兆しを示しておらず、悪化傾向にあります。中東では、アラブ首長国連邦が若干の増加(+2.7%)を記録しました。他の主要アジア市場はマイナスの成長を見せています。

年頭の悪状況で世界平均に大きな影響を及ぼした米国は、減少傾向が次第に落ち着き、2016年上半期の成長率は-9.3%となりました。

上半期の低迷を免れた欧州市場はありません。イタリア(-12.6%)とフランス(-14.8%)は最も落ち込みが激しく、ドイツ(-4.9%)、イギリス(-5.4%)、スペイン(-6.1%)、オーストリア(-2.0%)も、平均を上回ってはいるものの、減少傾向を免れない状況です。

July 21, 2016