2018年前期のスイス時計輸出結果

2012年以来の高成長

 2017年のスイス時計輸出状況は安定して推移した後、徐々に上向きとなり、その傾向がより多くの市場に広がった。2018年に入るとこの傾向はさらに強まり、前期は継続して大きな成長が見られた。消費とディストリビューションにおける市場の変化は時計業界にとって大きな課題であることは事実だが、市場の需要に応え販売を伸ばすにあたって特に障害となってはいない。

 1月から6月までの輸出状況は好調で、6月末で100億フランの大台を越し、2015年以来の水準に達した。輸出額は2017年前期に比べ10.5 % 成長して105億フランとなり、前年同期に比べ10億フラン増えた。半年間の成長率としては2012年以降最大である。

 スイス時計輸出が現在のような成長を続けるとすると、2018年はこれまでより生産量を拡大させる必要がある。年間を通じた成長率は現在の水準ほどではなくとも、通常後半に向かって成長が加速するため、一年間の成長としては安定したものとなるであろう。

 

製品別

 スイスの完成時計輸出総額は99億フランで、2017年前期に比べ10.4%の成長であった。

 数量では伸び率はそれよりも低く(+1.3%)、月毎にかなり変動がある。前期におけるスイスの完成時計輸出総数は1170万個であった。

 輸出額の伸びに大きく貢献しているのは機械式時計(+11.3%)で、輸出額の全体の8割を占める。機械式時計は数量においても拡大し(+13.6%)、クォーツ時計の減少(-3.8%) を埋め合わせている。

 価格帯別に見ると、200フラン以下(輸出価格)の価格帯は金額でほぼ同じレベルを維持した(-0.1%)が、数量では減少が続いており(-3.7%)、この傾向はすでに2年続いている。500~3000フランの価格帯は、数量(+14.9%)と金額(+16.9%)で共に成長率がもっとも大きかった。3000フラン以上の時計も拡大している(+8.7%)。

 素材別に見ると、貴金属、スティール、バイメタルの時計が成長に大きく寄与している。数量ではスティールの増大が大きく(+50万個)、その他の素材は逆に減少している(-37万個)。

 

市場別

 前期のスイス時計輸出状況を市場別に見ると、成長のほとんどはアジア市場が独占し、全世界における成長のうち90%近くを占めている。金額では56億フランで、2017年前期に比べ18.7%増大した。アメリカ大陸も同様の傾向だが、成長率はその半分ほどである(+9.1%)。ヨーロッパは国により差があり景気は全般的に低調で、マイナス成長に転じた(-1.2%)。

 世界各地における成長の状況にはやや変化が見られる。香港(+29.5%)は全世界の成長のうちほぼ1/3を占め、非常に好調である。中国(+13.4%)は依然として成長を続けているものの、スピードはやや落ちた。好調な国としては日本(+14.0%)、そしてフランス(+17.5%)が全体を押し上げている。韓国(+34.7%)、タイ(+28.0%)と、今後の高成長が期待される。市場規模は小さいが、カタール(+76.6%)、トルコ(+45.3%)も高成長を見せた。

 前期にマイナス成長となった市場もある。主としてヨーロッパの国々だ。イギリス(-10.9%)は2年前にポンドが下がった時に市場が成長したが、現在は牽引力を失った。イタリア(-13.3%)とスペイン(-12.1%)もかなり減少している。

July 19, 2018