2022年前期のスイス時計輸出

金額、数量ともにかなり好調な前期

世界市場における今年前半のスイスウォッチの需要は大きく伸びました。中国と香港を除くほぼ全市場で時計輸出が増加しています。マクロ経済、地政的状況、衛生状況の悪化は、これまでのところ時計輸出には平均的にさほどの影響を与えていません。

2022年1月から6月の間のスイス時計輸出は119億フランで、2021年前期に比べ、11.9％の伸びとなっています。この増加分の70％が貴金属またはスティールの機械式時計ですが、その他のカテゴリーも全体的な成長に貢献しています。また数量が大きく伸びたことも注目されます。

一般的な経済の見通しはあまり良くなく不安要素が増える中で、2022年のスイス時計輸出は好調に推移すると予測されています。ウォッチの需要は安定しており、ラグジュアリー市場も好調に推移しています。その中でいくつか考えられるマイナス要素は、不安定な原材料調達と投資資産、エネルギーコスト、輸送コストの上昇、労働力不足、スイスフラン高が考えられます。

商品別

時計輸出は金額ベースではウォッチが95％を占めます。一年の前期としては初めて110億フランの大台を超え（113億フラン）、これは11.9％の増加にあたります。数量も増加し720万個（+3.2％）となりました。1月から6月の間に輸出が225,000個増加したことになります。この増加は喜ばしいことですが、これでももっと長いスパンで見ると低いレベルで、10年前に比べると半分以下です。

機械式時計は金額ではやや増えていますが、数量では減少しています(-3.3%)。クォーツウォッチの増加率は高く、数量は8.2%増加しました。

3000フラン以上（輸出価格）のウォッチは金額の伸びを大きく支えています(+15.5%)。500-3000フランの価格帯のウォッチもこれに貢献(+6.0%)する一方、200-500フランの価格帯では大きく減少しました(-19.1%)。この価格帯では数量でも大きく減少し(-16.8%)、数量を大きく伸ばした他のセグメントとは逆の傾向となっています。

市場別

今年前半、アジア市場はスイス時計輸出の半分(49%)を占めました。去年とほぼ同レベルを保ちました(+0,8.%)が、急増している国と激減している国があります。欧州市場のシェアは30％で、成長率は21.9%でした。米国は最大の成長(+31.0%)を示し、前年比19%でした。

ほとんどの国が好調な成長を見せています。トップは米国(+31.4%)で、安定した需要に支えられ、スイス時計輸出の16%を占めています。中国での流通が滞ったことにより米国への出荷が増えたという面があります。

アジアについては、中国が4―5月はコロナによるロックダウンのため大きな打撃を受けました(-26.3%、うち第二四半期が-43.3% )。それでも前期の金額は11億フランで、コロナ前の時期を上回っています(+19.3%)。香港(-11.5%)もここ数年に続き減少を続けています。アジアのその他の国はほぼ全て、大きな増加を見せています。

欧州市場についてはさらに大きく成長し、英国(+31.8%)、ドイツ(+25.4%)、フランス(+36.5%)がこの傾向をよく示しています。ロシアだけは減少（6ヶ月では-64.3%、戦争開始後は-98.3%）していますが、輸出トータル全体に大きな打撃となってはいません(-0.7%)。

July 19, 2022