2023年のスイス時計輸出状況

過去最高の輸出額および大幅な輸出本数の増加

スイス時計産業は、前年度に達成した高水準に続き、2023年も力強い成長を続けました。輸出額は過去最高を記録し、それに応じた時計の輸出本数も大幅に増加しました。

スイス時計の年間を通じた輸出総額は、2022年のそれを7.6%上回り、267億スイスフランに達しました。上半期の売上高は11.8%の増加を記録しましたが、下半期は成長が鈍化し、3.6%の増加となりました。

主に高額なカテゴリーが好調な勢いを見せ、高級品市場の持続的な需要から恩恵を受けました。また、エントリーモデルでも素晴らしい業績を収め、スイス時計への強い関心が続いていることが裏付けられました。

スイス時計産業雇用者連盟が発表したところによると、この目覚しい勢いに伴い、スイス時計産業の従業員数は昨年7.7%増加。6万5,000人を超えることとなりました。

2024年は、輸出と、時計産業で働く従業員の双方にとって、静かな年になるだろうと予想されています。業績は高水準を維持するか、増加してもわずかな程度にとどまる見込みです。また、スイス時計産業の各関係者間の格差が解消されることはなく、誰もが同じ勢いを保つことにはならないだろうと予想されています。特に、下請け業者や納入業者は、今年はあまり好調な年にはならないだろうと見込んでいます。低迷する経済情勢は、今のところ高級品市場には限定的な影響しか与えていないように思われますが、それでもあらゆるレベルで消費マインドに影響を及ぼしており、いくつかのブランドはすでに慎重な予測を立てています。加えて、スイスフランが高水準で推移しており、特にエントリーおよびミッドレンジのカテゴリーにおいて、それが重くのしかかるだろうと予想されています。

製品
腕時計の輸出本数は1,690万本にのぼり、2022年比で7.2%増加を記録しました。2023年には前年を110万本上回る腕時計が海外に輸出されたことになり、前年度にすでに見られた回復基調が確認されました。腕時計の輸出額は7.7%増の255億スイスフランとなりました。

機械式時計(輸出額で+7.0%)は、輸出売上高の増加のほぼ80%を占めました。一方、クォーツ時計(+12.6%)は、輸出本数での増加分の4分の3を占め、8.8%の伸びを示しました。

この二極化した動きは、主な価格帯にも見られました。輸出価格200スイスフラン以下の時計が94万本(+11.2%)増加し、輸出本数での増加分の83%を占めました。その対極にある価格帯では、3,000スイスフラン以上の時計(輸出額で+9.4%)が92%の伸びを記録しました。その中間に位置する200~3,000スイスフランのカテゴリーでは、2022年と比較してわずかな変化しか見られず、輸出額では0.9%、輸出本数では1.9%の増加にとどまりました。

2本に1本を超える割合を占めるスチールウォッチは、2023年には本数(+0.4%)、輸出額(+1.4%増)ともに停滞しました。輸出による売上高は、主に貴金属時計(+9.2%)とバイメタル時計(+11.2%)に支えられた形となりました。


市場
主に米国が勢いを見せたアメリカ市場(+6.7%)は、2023年の輸出の19%を占めました。同様の傾向にあった欧州市場(+6.8%)は、輸出の30%を占めました。また、アジア市場(+8.2%)は、スイス時計の輸出のほぼ半分(49%)を占めました。

2021年と2022年に平均27.1%の伸びを示した米国への輸出(+7.0%)は、昨年も活況を呈したものとなりました。

アジア市場では、2022年の市場の混乱の後、中国(+7.6%)が世界平均と同様の成長率を記録しましたが、以前の水準までは戻りませんでした(2021年比-6.9%)。香港(+23.4%)は、3年間続いた衛生規制により市場が記録的な低水準まで落ち込みましたが、規制が解除されたことで、目覚ましい回復を見せました。日本(+7.7%)は平均並みだったものの、シンガポール(+2.5%)は不利なベース効果によって低下する形となりました。中東市場(+6.0%)では、アラブ首長国連邦(+12.2%)が大幅な増加を記録しましたが、サウジアラビア(+2.6%)はより緩やかな成長となりました。唯一陰りが見られたのは、中国・海南島の免税市場との競争にさらされた韓国(-7.3%)でした。

欧州における主要市場は、英国が+7.6%、ドイツが+5.1%、フランスが+8.1%、イタリアが+9.3%、スペインが+5.7%と、より均一な傾向を見せる結果となりました。

January 30, 2024