2024年のスイス時計輸出状況

2023年を下回る業績と大きな格差


スイスの時計産業は2024年、主要市場の動向とブランドの業績において非常に対照的な展開を見せました。輸出統計は、時計メーカー社間の著しい業績の格差を部分的にしか反映しておらず、また主にスイス国内市場に集中している下請け業者の状況を把握することはできません。

スイスの時計輸出は総額260億スイスフランで、2023年と比べて平均2.8%減少しました。この傾向は年間を通じて続き、特に大きな変動は見られませんでした。この減少は3年間の安定した成長に続くもので、主に「アスピレーショナル」と呼ばれる顧客層の高級個人消費財に対する需要が景気要因により縮小していることを示しています。また、エントリーカテゴリーおよびミドルカテゴリーにおける競争の激化もうかがえます。

こうした中で、ごく一部の時計はこの状況を乗り越え、業績の押し上げに貢献しましたが、多くの製品は平均のマイナス2.8%を大きく下回る落ち込みを記録しました。

中国本土と香港の影響を強く受けた需要の縮小は、一部の下請け業者に対する注文の減少につながりました。しかし、スイス時計産業経営者団体が行った調査によれば、労働時間短縮などの措置のおかげで2024年の雇用は維持されました。それでも、時計メーカー各社は2025年に向けてすでに懸念を表明しています。


市場回復は、依然として不確実な状況が続く中国の経済見通しに大きく左右される見込みですが、現時点では、2025年に市場が好転する兆しは見られず、減少傾向は和らぐものの、引き続き輸出の減少が予想され、メーカー間の大きな格差が今後も続く見込みです。


製品
腕時計が時計輸出の大部分を占めました。輸出総額は2023年比で2.8%減の248億スイスフランとなりました。前年の好調に続いて、輸出個数は160万個減少し、9.4%後退しました。腕時計の輸出本数は、1,530万本という記録的な低水準でした。 

輸出価格が3,000スイスフラン未満の腕時計では、売上が15.6%減少しました。輸出総額の80%を占める上のカテゴリーはやや上昇(+1.0%)したものの、全体的な落ち込みを埋め合わせることはできませんでした。

特に、スチールウォッチが大幅な落ち込みを見せ(金額ベースで-9.8%)、貴金属腕時計は逆の動きを見せました(+2.2%)。しかし、この成長は主に価格上昇の影響によるものであり、貴金属腕時計の輸出本数は5.1%減少しました。


市場
アメリカ市場は最も高い成長率(+5.4%)を記録し、2024年の輸出の5分の1を占めました。アジア全体の輸出額は、中国と香港の大幅な落ち込みの影響で7.6%減少を記録しました。欧州(-0.1%)は、2023年の水準を維持しました。

米国(2023年比で+5.0%)は、4年連続の安定した成長を経て、最大規模の市場としての地位をさらに強化しました。この市場の見通しは今後も良好と予想されます。

アジアでは、中国(-25.8%)が新型コロナウイルス感染症の世界的大流行時よりもさらに著しい縮小を見せ、2019年の水準に近づく結果となりました。その影響を受け、香港(-18.7%)も需要が低迷し、世界ランキング3位の座を失いました。一方で、日本(+7.8%)は、特に観光客の購買が成長を支え、スイス時計輸出において3位に浮上し、最も活発な市場の一つとなりました。シンガポール(-2.1%)は平均的な落ち込みでしたが、韓国(+8.7%)は有利なベース効果の恩恵を受け、2023年の落ち込みを補う形で成長を記録しました。

ヨーロッパは、各国市場の差が比較的小さく、イギリス(-1.6%)、フランス(+2.5%)、ドイツ(-3.8%)、イタリア(-1.6%)でした。

January 30, 2025